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「仕事量は変わらない」44.4%、「AI人材の市場価値は上がる」52.4%——250名調査が映す、減るのは量ではなく中身

2026-09-14 AI活用働き方

会社員250名に「AIが広がったら、自分の仕事量はどうなると思うか」と聞いた調査がある。いちばん多かった答えは「変わらないと思う」で44.4%だった。「減る」は25.6%(大きく減る5.2%、やや減る20.4%)。「増える」は11.2%にとどまっている。

ところが、同じ人たちに「AIを使いこなせる人材の市場価値はどうなると思うか」と聞くと、52.4%が「上がる」と答えている。「変わらない」は22.0%、「下がる」は合計4.8%だった。

ラグザス株式会社が人材紹介エージェント「HUGAN」で実施し、2026年9月10日に公表した「AI時代のキャリア意識調査」の結果である。

この2つの数字を並べると、多くの人が持っている見通しの形が浮かんでくる。仕事の量は減らない。でも、評価される中身は変わる。 楽観でも悲観でもなく、けっこう現実的な読みだと思う。

減ると思われているのは、量ではなく作業の種類

同じ調査で「自分の仕事のどのような部分が変化すると思うか」を聞いた設問では、上位が具体的だった。

変化すると思う部分割合
資料作成や文章作成が減る43.6%
定型的・繰り返しの作業が減る39.6%
情報収集・検索にかかる時間が減る38.4%
データ分析・集計作業が減る33.6%
特に変化しないと思う26.8%

並んでいるのは、どれも「手を動かす時間」だ。資料を整える、同じ処理を繰り返す、調べる、集計する。ここが4割前後で減ると見られている。

一方で、仕事量そのものが減ると答えた人は25.6%しかいない。つまり多くの人は、手を動かす時間が減っても、空いたぶんには別の何かが入ってくると見込んでいる。実際、AIを使い始めた人の実感としても、作業が消えた場所には確認や判断や調整が流れ込んでくることが多い。総量は動かないまま、中身が入れ替わる。

この読み方に立つと、「AIで楽になりましたか」という問いは、あまり良い問いではないことになる。楽になったかどうかではなく、空いた枠に何が入ったかのほうが、自分の1年後を決める。

「市場価値は上がる」と答えた半数は、何を見ているのか

市場価値が上がると答えた52.4%は、AIが仕事を奪うという話をしているわけではない。同じ調査で「今後重要になると思うスキル」を聞くと、こう並んだ。

1位はAIを使う力だが、2位は「AIでは代替しにくい専門性」である。この2つが同時に上位に来ているところが面白い。AIを使えることだけでは足りず、AIに渡す前と受け取った後で価値を足せるかどうかが見られる、という感覚だろう。

会社員の目線に引き寄せると、こうなる。資料の初稿をAIに書かせられる人は、もう珍しくない。差がつくのは、その初稿を見て「この論点が抜けている」と言える人がいるかどうかだ。前者は道具の話で、後者は専門性の話になる。

分かれ目は「今後どうするか」の欄にあった

同じ調査で今後のキャリアについて聞いた設問(複数回答)が、いちばん差が出ている。

「市場価値は上がる」と半数が答えた同じ調査で、36.0%が「特に何もする予定はない」と答えている。この2つは矛盾していない。市場価値が上がるのは「AIを使いこなせる人材」であって、自分がそこに入るかどうかはまた別の話だからだ。

利用状況のほうも割れている。仕事で生成AIを月に数回以上使っている人は51.2%(ほぼ毎日23.6%、週に数回16.8%、月に数回10.8%)。その一方で、「一度も利用したことがない」も38.8%いる。使っている人と一度も触っていない人が、ほぼ二分している状態だ。

中身の入れ替えを、今週の予定に落とす

見通しは持てても、予定に入っていないことは起きない。この調査の数字をそのまま行動に落とすなら、手順は3つで足りる。

  1. 上位4項目のうち、自分がいちばん時間を使っている作業を1つ選ぶ。 資料作成、繰り返し作業、情報収集、集計のどれか。全部やろうとすると続かないので、1つに絞る。
  2. その作業をAIに渡す枠を、今週のカレンダーに30分だけ置く。 思い出したときに使う運用は、忙しい週に真っ先に消える。
  3. 空いた時間の行き先を先に決めておく。 「専門性が要る仕事に使う」では抽象的すぎるので、「担当領域の一次資料を1本読む」「先週の判断を1件振り返る」くらいまで具体にする。

3のあとに、月末に一度だけ棚卸しをするといい。今月AIに渡した作業と、自分が判断した内容を、紙を分けて書き出す。前者だけが増えて後者が空欄なら、それは中身が入れ替わっていない合図になる。

この数字を読むときの注意

有効回答は250名で、規模は大きくない。調査期間はリリースに記載がなく、調査方法はインターネット調査、調査主体はラグザス株式会社/HUGANである。人材紹介サービスによる調査という性質上、キャリアへの関心が高い層に寄っている可能性もある。世の中全体の平均としてではなく、「こういう見立てをしている人が一定数いる」という材料として読むのが妥当だろう。

それでも、44.4%と52.4%の並びは示唆的だ。量は変わらないが、中身と評価は変わる。この見立てが当たっているなら、やることは「AIで何時間浮いたか」を数えることではなく、浮いた枠に何を入れたかを言えるようにしておくことになる。

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一次出典

本稿は公表資料に基づく整理であり、法的助言ではありません。