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AIを「使う」から「組み込む」へ——高活用層の73.9%が「転職・副業の選択肢が広がった」と答えた

2026-08-31 AI活用働き方

「AIが使えると転職や副業で有利になる」という話は、あちこちで聞きます。ただ、その「使える」がどのくらいのことを指しているのかは、たいてい曖昧なままです。毎日ChatGPTに質問しているのは「使える」に入るのか。入るとして、それで何が変わるのか。

オシジョブ株式会社が2026年8月4日に公表した「AI活用と副業に関する実態調査」に、この曖昧さを少し具体的にしてくれる数字があります。対象は全国の20〜59歳の会社員291名、調査期間は2026年7月、インターネット調査です。

「広がった」と答えた割合に約11倍の差

生成AIを高いレベルで活用している層のうち、「転職・副業の選択肢が広がった」と答えた人は73.9%。一方、業務でAIを使っていない層では6.8%にとどまりました。差はおよそ11倍です。

「AIスキルを活かした副業に前向き」と答えた割合も、高活用層91.3%に対して未活用層33.1%と、2.8倍近く開いています。

ここで大事なのは、調査が「高活用層」と呼んでいるのが、単なるヘビーユーザーではないことです。この調査で高活用層とされているのは、自分でツールを構築する業務プロセスに組み込んでチームに展開する、というレベルまで踏み込んでいる人たちです。そこまで到達しているのは回答者の23.7%。逆に、業務で生成AIをまったく使っていない会社員は50.9%でした。

つまり、会社員はざっくり「使っていない半分」「使ってはいる四分の一強」「組み込んでいる四分の一弱」に分かれている。そして選択肢の実感が大きく違うのは、3番目の層です。

分かれ目は頻度ではなく、レベル

毎日AIに質問している人と、業務プロセスにAIを組み込んでいる人。使用時間だけ見れば前者のほうが長いこともありますが、外から見たときに差がつくのは後者です。

理由は単純で、質問は残らないからです。今日いい答えをもらっても、明日また同じことを聞き直す。その作業は自分の頭の中では価値になっていますが、履歴を消せば何も残りません。他人に渡すこともできません。

対して「組み込む」は形が残ります。この作業はこの手順でAIに任せる、と決めて文書にした時点で、それは自分以外も使えるものになります。転職の面談や、業務委託の相談で説明できるのは、こちら側です。「AIを毎日使っています」と言われても相手は評価しようがありませんが、「この作業を、こういう手順に落として、月10時間ぶん減らしました」は評価できます。

「組み込む」に一段上げる3つの手順

いま「使ってはいる」側にいるなら、上げ方はそれほど複雑ではありません。

1. 頻度の高い作業を1つだけ選ぶ

週に3回以上、AIに似たようなことを頼んでいる作業があるはずです。議事録の要約、問い合わせ返信の下書き、資料の下読み。まずそれを1つに絞ります。複数を同時に整えようとすると、たいてい途中で止まります。

2. 毎回の指示を、書き置きの形にする

その作業でAIに伝えている前提を、思い出せる限り書き出します。誰向けの文章か、避けたい言い回しは何か、どんな形式で出してほしいか。それを1つのメモにまとめ、毎回そのまま貼る。ここまでで「質問」が「手順」になります。

3. 他人が読んで再現できるか確かめる

同僚に渡して、そのまま同じ結果が出せるかを見ます。出せなければ、自分の頭の中にだけあった前提が抜けています。そこを書き足す。この一往復で、メモは「自分用の工夫」から「渡せるもの」に変わります。

職種による差も出ています。高活用層の割合はIT・エンジニア職で45.2%、事務・管理職で22.0%、製造・生産職で7.4%。ただしこれは、ITの人が特別だという話というより、AIを組み込みやすい仕事の形が先にあったかどうかの差です。事務・管理職の22.0%は、定型のやりとりが多い仕事ほど手順に落としやすい、という実務的な事実も同時に示しています。

この数字が言っていないこと

念のため、この調査の限界も書いておきます。

回答者は291名で、大規模調査ではありません。「選択肢が広がった」は本人の実感であって、実際に転職や副業の収入が増えたことを測ったものではない。そして高活用層と実感の関係は相関であり、AIを組み込んだから選択肢が広がった、と因果を確かめたものでもありません。調査を実施したオシジョブ株式会社は、AIスキルを活かした副業・業務委託のマッチングサービスを運営する会社です。事業と関心が近い調査であることは、頭に置いておいたほうがいい。

それでも、23.7%と50.9%という分布と、73.9%対6.8%という開きは、いま何が評価されつつあるかの目安にはなります。AIを使う時間を増やすことと、AIを使う作業を手順にすることは、別の投資です。後者は今日、1つの作業を選ぶところから始められます。

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一次出典

本稿は公表資料に基づく整理であり、法的助言ではありません。