仕事でAIを使う人のうち「積極的に共有」は28.4%——301名調査が映す「隠れAI活用」
資料の下書きをAIに作らせ、そこから自分で直して提出した。悪いことはしていないのに、「AIで書きました」とは言わなかった——心当たりがあるなら、それは少数派ではないようです。
株式会社ナレッジホールディングスが2026年9月10日に公表した調査に、その様子が数字で出ています。全国の20代〜50代の男女301名を対象に、2026年8月にインターネットで実施されたものです。
使っているのは66.1%、言っているのは28.4%
仕事でAIを使った経験がある人は70.1%。いま使っている人は66.1%(「頻繁に使っている」37.9%と「たまに使っている」28.2%の合計)でした。3人に2人が仕事の中で触っている計算になります。
ところが、その利用者のうち上司や同僚に「積極的に共有している」と答えたのは28.4%。最も多いのは「聞かれれば答える程度」の43.1%で、「あまり伝えない」「完全に隠す」を合わせた層も28.4%あります。使っている人の7割超は、自分からは言っていません。
使用率と公言率が、ここまできれいに割れている道具はあまりありません。表計算ソフトを使ったことを申告する人はいませんが、それは隠しているのではなく、言う必要がないからです。AIはまだそこにいません。
黙らせているのは、規程ではなく評価への不安
伝えない・隠す理由の1位は「手を抜いていると思われそう」で35.1%。次いで「AIの成果だと思われたくない」が挙がっています。一方、情報漏洩のリスクや会社のルールといった制度面の理由は2割前後にとどまりました。
ここが今回の調査でいちばん実感に近いところだと思います。止めているのは会社の規程ではなく、「ラクをした人」に見えるかもしれないという心配のほうです。しかも本人はたいてい、ラクをしていません。下書きを直し、事実を確かめ、体裁を整える作業はそのまま残っています。減ったのは白紙から埋める時間だけです。
よく使う人ほど、隠していない
利用頻度で開示の態度がはっきり分かれます。「頻繁に使っている」人は45.6%が積極的に共有しているのに対し、「たまに使う」人は9.4%。約5倍の差です。
どちらが先かは、この調査だけでは決められません。隠さないから人に相談でき、うまい使い方が集まって上達したのかもしれないし、上達したから見せられるようになったのかもしれない。ただ、どちらの向きだとしても、黙っている状態は上達に向かって働かないという点は同じです。
黙っていると、時間が戻ってこない
隠したまま使うことには、地味なコストがあります。
- 人のやり方が入ってこない。 隣の人が3か月かけて磨いた指示の型を、聞けば5分で受け取れます。言っていなければ、その5分は永久に来ません。
- 同じ下ごしらえを全員が別々にやる。 部署の全員が、同じ資料をそれぞれAIに読ませ直している状態は珍しくありません。
- 成果が自分の実績にならない。 速く出せる理由を説明できないと、「なんとなく仕事が早い人」で止まります。評価や単価の交渉材料になるのは、再現できる手順のほうです。
3つ目はフリーランスにとってとくに大きい。同じ納品物でも、「早く出せます」より「この工程をこう回して、確認はここでこうしています」と言えるほうが、次の依頼につながります。
言い方を少し変える
とはいえ、「AIで作りました」とだけ伝えると、35.1%の人が心配したとおりの受け取られ方をすることはあります。伝え方を、成果物ではなく工程に寄せると通りやすくなります。
- どこを任せ、どこを自分がやったかまで言う。 「AIに書かせました」ではなく「たたき台をAIに出させて、数字と表現は自分で確かめて直しました」。作業を放り投げていないことが、一言で伝わります。
- 結果ではなく手順を渡す。 「この形式で議事録を整えて」という指示文そのものを同僚に共有する。相手の手間が実際に減るので、隠していたことより先に、役に立ったことが記憶に残ります。
- 確認した範囲を添える。 「出典はこの3件で確認済み、ここは未確認」と書き添えるだけで、AIを使ったかどうかより、成果物の信頼性の話に移ります。
いきなり全社に言う必要はありません。まず一緒に仕事をしている数人に、自分の手順を1つ渡してみる。返ってくるものがあれば、それが次の月の時間になります。
隠して使い続けても、AIは上達させてくれません。上達させるのは、使っている人どうしのやりとりのほうです。
Blue Aegis株式会社は、規制対応を検証可能にする技術を研究開発し、その成果を特許として保有・提供しています。規制対応でお困りの場面がありましたら、判断がつかない段階でもご相談ください。
相談する一次出典
- 株式会社ナレッジホールディングス(PR TIMES)「【独自調査】仕事でAIを使っていること、上司や同僚に伝えている? 利用者301人に調査」(2026-09-10)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000043.000166736.html
本稿は公表資料に基づく整理であり、法的助言ではありません。