blueaegis Blue Aegis Inc.

「デジタル・AI活用能力」48.9%、「リーダーシップ」86.3%——618名調査が映す、AIが前提になった先で見られる力

2026-09-20 AI活用スキル

AIを使えることが、そのまま評価につながる。そう考えて学習時間を配分している人は多いと思います。その前提を一度、数字で確かめておきたい調査が公開されました。

経営層の79.8%が、すでに日常的に使っている

株式会社日経BPが2026年9月18日に公表した、日経ビジネスとグロービス経営大学院の共同調査です。グロービス経営大学院の在卒生約1万人にWEBアンケートを配布し、有効回答は618件。うち経営層が139人含まれています。調査期間は2026年5月19日〜6月14日です。

経営層のAI利用頻度は、次のとおりでした。

決裁する側の8割が、自分でも毎日触っている。この前提を押さえたうえで、次の数字を見ると意味が変わります。

なお、母集団には偏りがあります。対象はビジネススクールの在卒生で、学習に時間とお金を払った人たちです。一般的な会社員の平均としては読めません。ただし「AIを日常的に使っている経営層が、何を重視しているか」を見るには、むしろ適した集団とも言えます。

求められる能力の上位3つに、AIは入らなかった

同じ調査で、今後3〜5年でビジネスリーダーに求められる能力を聞いた結果です。

能力割合
リーダーシップ(人・組織を巻き込み、方向づける力)86.3%
コミュニケーション能力(対人・対組織の調整力)82.7%
やり抜く力79.1%
デジタル・AI活用能力48.9%
データ分析・活用能力31.7%

上位3つと4位のあいだに、30ポイント以上の開きがあります。

誤解しやすいので先に書いておくと、これは「AIスキルは不要」という結果ではありません。48.9%は約半数で、決して低い数字ではない。データ分析の31.7%と比べても高い位置にあります。

読み取れるのは順番のほうです。毎日AIを使っている当人たちが、上位に置いたのは人を動かす側の力だった。 使えること自体が珍しくなくなると、差がつく場所がその先に移る、という順番の話として読むのが妥当なところです。

同じ職場でも、見えている壁が違う

もう1つ、立場による見え方の差が出ています。AI活用が進まない理由として挙げられた項目です。

最後の項目は、ほぼ2倍の差です。同じ組織を見ていても、失敗できるかどうかの感覚は、上と下で一致していません。リリースは、失敗を許容しない文化があると答えた人ほど自組織のAI活用頻度が低い傾向があったとしています。ただしこれは同時点の相関で、どちらが原因かまでは言えません。

個人の側で使える切り分けとして、有効だと思います。AIを仕事に取り込めていないとき、理由が「使えるツールが限られている」なら手続きの問題で、確認や申請で動く余地があります。「失敗すると面倒だから触らない」なら別の問題で、ツールが増えても解けません。どちらに引っかかっているかで、次の一手が変わります。

「使える」の先に置く3つの手順

1. 速くなった時間ではなく、決めた内容を記録する

「AIで資料作成が2時間短縮」は、来年には誰でも書ける文になります。残すなら、その先です。

「A案とB案を作らせ、顧客の検討期間が短いためB案を選んだ」「反対意見が出そうな点を先に3つ潰してから提案した」。1行で構いません。上位3つの能力は、こういう記録の形でしか外から見えないものです。

2. 失敗していい場所を、自分で1つ用意する

試行錯誤できる環境は、与えられるのを待つと来ません。条件は3つで、社外に出ない、締め切りに余裕がある、やり直しが効く。議事録の下書き、自分用の調査メモ、定例資料のたたき台あたりが該当します。

ここで新しい使い方を試し、うまくいったものだけを本番の業務に移す。ただし、勤務先のルールが先です。 使ってよいツールの範囲や、渡してはいけない情報については、職場の決まりを必ず確認してください。

3. 人が関わる工程を、自分で引き受ける

AIに渡しにくい工程は、たいてい人が絡むところに残ります。誰に先に話を通すか、反対しそうな相手にどう説明するか、いつ決めるか。

これを性格の問題だと考えると手が出せませんが、手順として扱えば練習できます。関係者を書き出す、想定される反論を3つ書く、一番強い反論に先に答える。上位に並んだリーダーシップやコミュニケーションは、こうした具体的な段取りの集合として現れます。

入場券と、その先

この調査が示しているのは、AI活用能力の価値が下がったということではありません。8割が日常的に使う環境では、それが前提に近づいていく、というだけのことです。

前提になったものは、持っていないと不利になりますが、持っていても差にはなりません。差がつくのは、その先に置いたものです。上位に並んだ3つの能力は、今日から急に身につくものではない代わりに、AIの進化で目減りもしません。

学習時間の配分を、少し後ろにずらしてみる。新しいツールを1つ覚える時間のうち30分を、決めた理由を書き残すことに回す。それで収入が増えると保証できる話ではありませんが、評価する側が見ている場所とのずれは、確実に小さくなります。

Blue Aegis株式会社は、規制対応を検証可能にする技術を研究開発し、その成果を特許として保有・提供しています。規制対応でお困りの場面がありましたら、判断がつかない段階でもご相談ください。

相談する

一次出典

本稿は公表資料に基づく整理であり、法的助言ではありません。