AIを使い込んだ人ほど「最後は人」と答えた——1,265人調査が映す、時短の先に残る4つの工程
「AIに任せられる範囲は、使い込むほど広がっていく」——そう考えるのが自然な気がします。ところが実際に毎日使っている人たちの回答は、逆の方向を向いていました。
株式会社スーパーソフトウエア東京オフィスが2026年9月11日に公表した調査です。27〜59歳のITエンジニア1,265名に、2026年8月17日〜19日、インターネットで聞いています。エンジニアを対象にした調査なので、以下の数値はその職種の回答です。ただし、そこに出ている構造は職種を問わず読み替えられます。
前提として、この層のAI利用はかなり進んでいます。現在利用している人は75.9%(960名)。内訳は「ほぼ毎日」30.2%、「週に数回」33.4%、「月に数回」12.3%。利用経験がない人は24.1%でした。
使っている人ほど、「人が責任を持つ仕事がある」と答えた
調査の中心はここです。「最終的に人が責任を持つべき仕事がある」と答えた割合が、利用頻度できれいに分かれました。
| 利用頻度 | 「人が責任を持つべき仕事がある」 |
|---|---|
| ほぼ毎日 | 96.9% |
| 週に数回 | 96.9% |
| 月に数回 | 96.2% |
| 試したが今はほぼ使っていない | 93.8% |
| 利用経験なし | 60.6% |
| 全体 | 91.5% |
毎日使っている層と、使ったことがない層の差は36.3ポイント。向きが直感と逆です。使ったことがない人のほうが、この項目に同意しなかった割合が高い。
理由は想像がつきます。使っていなければ、うまくいかない場面を見ていません。毎日投げている人は、どこで崩れるかを繰り返し見ている。だから「ここは自分が持つ」という線を、具体的な場面として引けます。
時短は、ほぼ全員に起きている
といって、AIが効いていないわけではありません。現在利用している人の97.5%が、少なくとも1つの業務で「時間が減った」と答えています。
減った業務の上位はこうです。
- エラー原因の調査:44.1%
- 技術調査:36.4%
- コード作成:36.2%
- ドキュメント作成:33.3%
時短はほぼ全員に起きていて、それでも全体の91.5%が「人が責任を持つ仕事がある」と言っている。この2つは矛盾していません。速くなった分がそのまま「任せきり」に変わるのではなく、速くなった先に別の工程が残る、という話です。
確認の重要度も、頻度に沿って上がっていく
その「別の工程」の正体が、次の数字に出ています。「AIの出力が正しいか確認すること」の重要性が増したと感じる割合です。
- ほぼ毎日利用:62.6%
- 週に数回:35.8%
- 月に数回:19.9%
使う量が増えるほど、確認の比重が上がる。ここも階段になっています。月に数回の人にとって確認は5人に1人の話ですが、毎日使う人には6割の話です。
つまりAIを本格的に使い始めると、仕事の中身が入れ替わります。作る時間が減って、確かめる時間が増える。合計が減るかどうかは、確かめる工程をどれだけ手際よくこなせるかで決まる、ということになります。
「人が持つ仕事」の中身は、4つに割れた
では具体的に何が残るのか。調査では上位4つが挙がりました。
- AIが作ったコードや資料の正しさを確認する:39.9%
- 品質や安全性を判断する:30.7%
- 設計方針を決定する:25.2%
- 顧客や利用者に説明する:24.0%
エンジニアの言葉で書かれていますが、抽象化すると職種を問わない形になります。確認・判断・方針決定・説明。 どれも、AIの出力を受け取ったあとに人が挟まる工程です。
営業なら、AIが作った提案書の数字が合っているかの確認、出す・出さないの判断、提案の筋の決定、相手への説明。経理でも人事でも、呼び名が変わるだけで同じ4つが出てきます。ここはこの調査が示した事実ではなく、置き換えの提案ですが、確かめる価値はあると思います。
今週、決めておくこと
数字から取り出せる手順は3つです。
- 今の自分がどの段にいるか、正直に見る。 週に数回までの層では、確認の重要性を感じている人は3割台でした。まだ「確認が要る場面」に出会っていないだけかもしれません。
- AIに渡している業務を1つ選び、確認の手順を先に書く。 何と何を照合すれば正しいと言えるのか。この1行を決めておくと、確認が毎回の即興作業になりません。
- 4つのうち、自分が手放さない工程を決める。 全部持つ必要はありません。ただ「これは最後に自分が見る」と決めた工程が1つもない状態は、速くはなっても危うくなります。
毎日使っている人の96.9%が「人が責任を持つ仕事がある」と答えたのは、AIへの不信の表明ではないはずです。使い込んだ結果として自分の担当が見えた、という報告に見えます。任せる範囲を広げる作業と、自分が持つ工程を決める作業は、たぶん同時に進むものです。
Blue Aegis株式会社は、規制対応を検証可能にする技術を研究開発し、その成果を特許として保有・提供しています。規制対応でお困りの場面がありましたら、判断がつかない段階でもご相談ください。
相談する一次出典
- 株式会社スーパーソフトウエア東京オフィス(PR TIMES)「【ITエンジニア1,265人調査】生成AIを使い込んだ先に見えたのは「最後は人」―毎日利用者の96.9%が「人が最終責任を持つ仕事がある」と回答」(2026-09-11)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000038.000004742.html
本稿は公表資料に基づく整理であり、法的助言ではありません。