AIをほぼ毎日使う45.0%、それでも「最も重要な能力」にAI活用を選んだのは5.3%——200人調査が映す、ひとつだけ選ばせると入れ替わる順位
毎日使っている人たちに、順位をつけさせた
「AIを使えること」はスキルなのか。使っていない人に聞いても答えは出ません。ほぼ全員が使っている集団に聞いてはじめて、意味のある答えが出ます。
株式会社OSIEが2026年10月16日に公表した調査は、その条件に近い集団を見ています。対象はWebサイトの制作・運用、SEO、Web広告、SNS、データ分析といったWeb関連業務に携わる20〜69歳の男女で、有効回答は200人。調査期間は2026年10月15日〜16日のオンライン調査です。スクリーニング2,000人から368人に配信し、200人分を集めたもので、性別・年齢の均等割付はしていません。発表元自身が「日本のWeb業界従事者全体を代表するものではない」と書いているとおり、ここは割り引いて読む必要があります。
その200人のうち、生成AIを業務で使った経験があるのは89.5%(179人)。頻度を見ると週1回以上が80.0%(160人)、内訳はほぼ毎日45.0%(90人)、週に数回19.0%(38人)、週1回程度16.0%(32人)でした。月に数回以下は8.0%、以前使っていたが今は使っていない人は1.5%です。
用途も偏っていません。利用者179人の複数回答で、情報収集・リサーチ54.7%、企画・アイデア出し54.7%、記事やコピーの作成・編集50.3%、画像・デザイン41.9%、サイト制作・プログラミング38.5%、データ集計・分析37.4%。ひととおりの工程に入り込んでいる状態です。
複数回答の1位と、ひとつだけの1位が違った
この調査がおもしろいのは、「重要な能力」を二度聞いているところです。複数選んでよい質問と、ひとつだけ選ぶ質問。結果の順位が入れ替わりました。
| 能力 | 複数回答(200人) | 最も重要(190人) |
|---|---|---|
| 文章や情報をわかりやすく伝える力 | 47.5% | 17.4% |
| Webサイトの制作・デザインに関する技術 | 43.5% | 16.8% |
| 課題を整理し、優先順位を考える力 | 40.5% | 17.4% |
| 事業や顧客の目的を理解する力 | 39.0% | 20.0% |
複数回答では「伝える力」が1位で、「目的を理解する力」は4位。ところが「ひとつだけ」にすると、順位が逆になります。1位は目的理解20.0%、2位以下は課題整理17.4%、伝える力17.4%、制作技術16.8%と、わずか3ポイント強のなかに団子で並びました。
「どれも大事」と「いちばん大事」は、別の問いです。 前者では全部にマルがつき、後者では捨てる判断が入る。この調査は、同じ人たちの答えが問い方で入れ替わることを、そのまま見せています。
AIを使う力は、いちばんにはならなかった
そして「生成AIなどの新しいツールを活用する力」を最も重要に選んだ人は、5.3%でした。複数回答の上位4項目にも入っていません。
ほぼ毎日使う人が45.0%いる集団で、です。矛盾ではなく、順番の話だと読めます。全員が持っているものは差になりません。使えて当たり前になった道具の操作は、他人と比べたときの持ち味にならない。その代わり前に出てきたのが、何のためにやるのかを掴む力と、課題に順番をつける力でした。
同じ調査で、AIの出力を確かめている人の割合も出ています。利用者179人のうち、事実確認をしたのが57.0%、数値や計算の確認が54.2%、出典や引用の確認が51.4%。半数前後が止まっている工程で、残りの半数は確認していない、とも読めます。
自分の時間割に「ひとつだけ」を当てる
ここから先は、個人の使い方の話です。やることを並べれば全部大事に見える、という状態は仕事でも同じです。使えそうな手は、たとえばこのあたりです。
- 週に1回、やっていることをひとつだけ選ぶ。 複数回答で考えているあいだは順位がつきません。「今週いちばん効いた仕事はどれか」をひとつ書き出すと、残りは手段だったと分かることがあります。
- AIに渡す前に、目的を一行で書く。 「何を作るか」ではなく「誰のどの判断を助けるか」。調査の1位がここなのは、たぶんこれが出力の質を決める入口だからです。指示が具体的になれば、直す回数も減ります。
- 確認する項目を固定する。 事実、数値、出典。この3つは調査でも半数前後が見ている場所です。毎回思い出しながら確認している限り、時間は毎回かかります。
- 「AIが使える」を売り物にしない。 5.3%という数字は、それ単体では評価されにくいことを示しています。使える前提で、何を解いたかを語れるかどうかです。
逆に言えば、AIの操作に習熟することだけに時間を注ぐと、全員が同じ場所に到達した時点で持ち味が消えます。90%近くが使い、45%が毎日使っている集団は、すでにその状態に近い。
毎日の工夫で差をつけ続けるのか、そもそも何のためにやるのかを決める側に回るのか。問いをひとつだけ選べと言われたときに出てくる答えのほうが、おそらく自分の現在地を正確に映します。
Blue Aegis株式会社は、規制対応を検証可能にする技術を研究開発し、その成果を特許として保有・提供しています。規制対応でお困りの場面がありましたら、判断がつかない段階でもご相談ください。
相談する一次出典
- 株式会社OSIE(PR TIMES)「【Web関連業務経験者200人調査】生成AIの業務利用経験は89.5%、最も重要な能力は「事業や顧客の目的理解」が最多」(2026-10-16)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000148145.html
本稿は公表資料に基づく整理であり、法的助言ではありません。