ChatGPTを開いた日数は月9.8日、月21日以上使う人は20代でも約17%——行動ログ2年分が映す「使っている」の中身
アンケートではなく、行動ログで測った2年分
株式会社ヴァリューズが2026年10月9日に公表した「生成AIユーザー動向調査」は、国内のAIサービス利用者の行動ログを2024年6月から2026年5月まで追ったものです。対象はChatGPT、Gemini、Claude、Microsoft Copilot、Perplexity AI、Agent i。同社の分析ツール「Dockpit」で、スマートフォンアプリとWebブラウザの利用を集計しています。
規模の数字から並べます。2026年5月のMAU(月間利用者数)はChatGPTが2,670万人で、2024年6月の336万人から約695%増。Geminiは1,153%増の1,190万人、Claudeは1,232%増の253万人。2026年4月にリリースされたLINEヤフーのAgent iは、翌5月時点で623万人に達しています。
ただし発表元は注記を置いています。ユーザー数は拡大推計値で、アプリとブラウザの合算のため重複がある。Geminiはデータに一部制限があり参考値。デスクトップアプリは集計対象外。倍率の大小をそのまま勢力図として読むのは避けたほうがよさそうです。
この調査で目を引くのは、規模ではなく頻度のほうでした。
月9.8日。3日に1回、くらい
ChatGPTアプリの月平均起動日数は9.8日。1か月のうち10日弱です。
国内で最も使われているサービスを、使っている人が平均して3日に1回開いている。この数字は「利用者2,670万人」という規模の数字とは別のことを言っています。登録もしたし、実際に開いてもいる。ただ毎日ではない。
申告ベースの調査も、近い方向を向いています。パーソル総合研究所が2026年3月12日に公開したコラム「利用率では測れない、職場での生成AI活用の実態」は、業務で生成AIを週4日以上使っている就業者が11.7%だったと書いています。測り方は行動ログと全く違いますが、「使っている」と答える人の多くが週に2〜3回だという輪郭は共通しています。
利用率と頻度は別の指標です。そして仕事の成果に効くのは、たぶん後者のほうです。
20代でも、月21日以上は約17%
年代別に見ると、2025年3月を境にほとんどの年代でユーザー数が増えていました。伸び率は20代が836%増で最も高く、40代692%増、30代656%増が続きます。40代は20代に次ぐボリュームゾーンです。
そのうえで、ヴァリューズは利用頻度を年代別に切っています。月21日以上使う層を「ヘビーユーザー」と定義すると、その割合は20代で約17%。全年代で最も高い数字でした。発表元は、20代で生成AIが日常的な習慣として定着しつつあると評価しています。
裏返すと、最も進んでいる年代でも8割以上は月20日以下です。月21日はおおむね平日の日数にあたります。つまり「仕事のある日は毎日開く」状態に届いているのは、20代でも6人に1人ということになります。
ここは悲観的な数字ではなく、現実的な目安として読めます。毎日開く人は、まだ少数派です。
頻度の差は、使いこなしの差ではない
月9.8日と月21日以上の差は、プロンプトの巧拙ではないと思います。開く理由が毎日あるかどうかの差です。
月に10日開く人の使い方は、たいてい「困ったときに相談する」形になっています。企画で詰まった、英文の意味が取れない、説明の切り口が思いつかない。困りごとは毎日は起きないので、起動も毎日にはなりません。
一方、毎日開く人は、毎日発生する工程のどれかにAIを固定で置いています。朝のメール返信、日報、議事録の整形、問い合わせの一次回答。どれも難しい作業ではありません。難しくないからこそ、毎日あります。
この違いは実力ではなく設計です。設計は今日変えられます。
入口は「新しく開く」より「すでに開いている場所」
Agent iが2か月で623万人に届いた理由も、頻度の話と地続きです。この数字は40〜70代を中心に積み上がっています。AIに関心のある層が新しいアプリを探しに行った結果ではなく、すでに毎日開いているサービスの中にAIが現れた結果です。ヴァリューズも、既存のサービスにAIを組み込む事業者の強さに触れています。
個人の使い方にも、同じ考え方が効きます。別のタブを開いて、AIのために作業を運ぶのをやめる。メールクライアント、ブラウザ、使っているチャットツール——すでに毎日開いているものの内側にAIを置くと、起動という手間がなくなります。手間が1つ減るだけで、頻度は変わります。
今週できる3つ
自分の起動日数を数える。 使っているサービスの履歴や利用状況から、過去30日で何日開いたかを数えます。9.8日より上か下か。これが自分の現在地です。感覚ではなく日数で見ると、次に何をすべきかが絞れます。
毎日ある1工程に固定で紐付ける。 新しい使い方を増やすのではなく、すでに毎日やっている作業を1つ選んで、その手順の中にAIを入れます。選ぶ基準は「重要かどうか」ではなく「毎日あるかどうか」です。週1回の大仕事に使っても、頻度は上がりません。
2つ目のサービスを増やす前に、1つ目の頻度を上げる。 伸び率1,232%という数字を見ると乗り換えたくなりますが、月9.8日のまま別のサービスを足しても、合計が月12日になるだけです。1つを月20日にしてから、次を考えるほうが順番として自然です。
2,670万人という数字は市場の話で、9.8日という数字は自分の話です。前者はニュースで追えますが、後者は自分で数えないと出てきません。数えてみて月5日だったとしても、それはスタート地点がわかったということです。
Blue Aegis株式会社は、規制対応を検証可能にする技術を研究開発し、その成果を特許として保有・提供しています。規制対応でお困りの場面がありましたら、判断がつかない段階でもご相談ください。
相談する一次出典
- 株式会社ヴァリューズ(PR TIMES)「【調査リリース】2026年 生成AIユーザー動向調査|進む20・30代の”ヘビーユーザー化”、ChatGPT・Geminiに次ぐ新勢力とは?」(2026-10-09)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000231.000007396.html - パーソル総合研究所「利用率では測れない、職場での生成AI活用の実態」(2026-03-12)
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/thinktank-column/202603120001/
本稿は公表資料に基づく整理であり、法的助言ではありません。