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AIに社内のことを聞くと64.7%が「答えられない・誤答」——500名調査が映す、渡す材料の不足

2026-09-10 AI活用業務効率化

AIに「あの案件、値上げの適用っていつからでしたっけ」と聞いたら、それらしい答えが返ってきた。念のため確認したら違っていた——そんな経験があるなら、原因はAIの性能ではなく、答えの元になる情報がどこにも文字で残っていないことかもしれません。

テクミラホールディングス株式会社が2026年9月9日に公表した「企業のAI活用に関する実態調査」(『企業AI白書 2026』)に、その構図が数字で出ています。対象は全国の就業者500名(うち生成AI利用者346名)。2026年7月にインターネットで実施されたものです。

社内のことを聞くと、6割超が外れる

汎用のAIに社内に関する質問をしたとき、「答えられない、または誤答する」割合は64.7%でした。

言われてみれば当然で、汎用のAIは自社の値上げ時期も、去年の失注理由も知りません。ただ、この数字が示しているのは「AIの限界」ではなく、すでに多くの人がAIに社内のことを聞こうとしているという事実のほうです。聞こうとして、材料がなくて外れている。

同じ調査では、情報を探すのに使っている時間が1日あたり約1.38時間と報告されています。1日8時間なら17%が探し物です。週にすると7時間近い。ここはAIを導入しても自動では減りません。探しに行った先に、探せる形の情報が置かれていないからです。

ノウハウの13.8%しか、文字になっていない

材料の側を見ると、事情がはっきりします。業務ノウハウを「言語化・共有できている」は13.8%。「一部のみ言語化」が37.0%、「ほとんど個人の頭の中」が25.2%で、合わせて62.2%が言語化・共有されていない状態でした。

社内ナレッジの整理状況も似ています。「体系的に整理・最新化できている」は14.2%。「一部の部門・領域だけ」39.8%、「散在・ほとんど未整理」25.6%で、65.4%が整理しきれていません。

用途別の「定着」を見ると、9用途の平均は8.5%。比較的高い資料作成でも14.2%で、暗黙知の継承は6.8%にとどまります。整理が不十分なまま、より高度な活用へ進もうとしている層は48.4%でした。

道具は行き渡っています。足りていないのは、道具に読ませるものです。

覚え方も、だいたい自前

学び方の内訳も、この話とつながっています。AI活用の習得経路は「他人の事例参照・人から教わった」35.8%、「業務時間外の自習・独学」33.8%。合わせて69.6%が自主的な学びで、「体系的な社内研修・教育」は26.0%でした。

つまり、材料も整っていなければ、教わる場も多くはない。裏を返せば、この部分は会社の整備を待たずに、自分の手元から動かせるということです。全社のナレッジ基盤は個人には作れませんが、自分が毎回答えている質問を文字にすることはできます。

手元から材料を作る3つの手順

大がかりな整理は要りません。1日15分を1週間で十分に足ります。

  1. 今週、人に聞かれて答えたことを1行ずつ残す。 「請求書の締めは月末営業日」「A社の窓口は担当部長ではなく課長」。思い出すのではなく、聞かれた瞬間にメモへ足すのがコツです。1週間で10〜20行たまります。
  2. 答えに「なぜそうしているか」を足す。 手順だけだと、例外が来たときに使えません。「A社は決裁が2段階あるので、期日の3営業日前に出す」まで書く。頭の中にしかない判断基準は、ここでしか文字になりません。
  3. AIに聞く前に、そのメモを先に貼る。 質問だけを投げると64.7%側に入ります。メモを貼ってから「この条件で、B社向けの案内文を作って」と頼む。同じAIでも、返ってくるものが変わります。

このメモは、AIのためだけのものではありません。自分が来月同じことを調べ直す時間と、引き継ぎで説明する時間も一緒に減ります。1日1.38時間の探し物のうち、自分の担当分から削れる部分です。

材料が増えると、頼める仕事が変わる

AIの使い方の話は、プロンプトの書き方に寄りがちです。ただ、今回の調査を見るかぎり、詰まっているのはもっと手前でした。渡す材料がなければ、指示をどれだけ丁寧に書いても、返ってくるのは一般論にしかなりません。

逆に、自分の担当領域について書き出したものが手元にあると、任せられる範囲が一段広がります。文章の下書きだけでなく、条件を踏まえた比較や、例外の洗い出しまで頼めるようになる。数字の上では、その材料を持っている人は少数派です。

今週、誰かに聞かれて口頭で答えたことが何件あったか。まずはそこから数えてみてください。

Blue Aegis株式会社は、規制対応を検証可能にする技術を研究開発し、その成果を特許として保有・提供しています。規制対応でお困りの場面がありましたら、判断がつかない段階でもご相談ください。

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一次出典

本稿は公表資料に基づく整理であり、法的助言ではありません。