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AIに直させたら「別の箇所が壊れた」36.6%——165件調査が映す、速くなった先で増える手戻り

2026-09-16 AI活用業務効率化

一行だけ直してもらったはずなのに、頼んでいないところまで変わっていた。AIに作業を任せるようになってから、こういう「直したはずが増えた」に出くわす回数が増えた人は多いと思います。

バルテス・ホールディングス株式会社が2026年9月15日に公表した「AI開発時代の品質と信頼に関するアンケート」の結果に、その輪郭が出ていました。

先に前提を書いておきます。回答者はバルテスグループの顧客と、同社が運営するソフトウェアテストの情報サイト「Qbook」を中心とした層で、有効回答は165件。調査期間は2026年7月21日から31日、Microsoft Forms によるインターネット調査です。品質検証に関心の高い人が多く集まっている点と、回答数が多くない点は、読むときの前提になります。以下は「開発と品質の現場ではこう見えている」という範囲の数字です。

困りごとの1位は、誤りではなく「別の箇所が壊れた」

AIコーディング支援ツールの利用者のうち、77.5%が「困った経験」があると答えています。その中身の上位3つがこちらです。

困った経験割合
修正した際に別の箇所が壊れた36.6%
気づかないバグが含まれていた35.2%
AIの出力が正しいか確認しきれなかった25.4%

1位に来たのが「間違った答えが返ってきた」ではないところが要点です。頼んだ箇所は直っている。直っていないのは、頼んでいない箇所のほうです。これは賢さの問題というより、どこまで触っていいかを渡していないことから起きる問題に見えます。

そしてこれはコードに限った話ではありません。資料の一段落を書き直してもらったら全体の語尾が揃えられていた、表の数字を1つ直させたら別の行の書式まで変わっていた。同じ形の失敗は、文書でも表計算でも起きます。

課題の中心は「作る」から「見る」へ移っている

今後1〜2年で最も課題になることを聞いた設問では、順位がこうなりました。

上位2つで69.0%です。挙がっているのは「AIがうまく作れない」ではなく、作られたものを見る側が足りないという話に寄っています。同じ調査で「AI活用が進むほどテスト・検証の重要性は高まる」に86.7%が同意し、上流工程でAIを使うときに最も大切なこととしては「最終判断を人が行うこと」が61.2%で最多でした。

作る速さが上がると、確認する量も同じだけ増えます。ここを放っておくと、浮いたはずの時間が確認と手戻りに吸われて、体感の速さだけが残ります。

手戻りを減らす3つの渡し方

数字から取り出せる対策は、確認を増やすことではありません。確認しなければいけない量を、渡す時点で減らすことです。

  1. 触っていい範囲を先に書く。 「この段落だけ直して、他は一字も変えないで」。範囲の指定は、出力の質を上げる指示ではなく、確認の手間を下げる指示です。1位の困りごとは、ここでかなり減ります。
  2. 差分で受け取る。 全文を出し直させると、どこが変わったか分からなくなります。「変更した箇所を、変更前と変更後の対で並べて」と頼むだけで、見る対象が数行に縮みます。
  3. 一度に直させる数を絞る。 10か所まとめて頼むと、確認も10か所分まとめて必要になります。3か所ずつに割ったほうが、結局は速く終わります。

いずれも、AIの性能とは関係のない話です。渡し方を変えるだけなので、今日の次の依頼から試せます。

速くなったのに終わらない、の正体

「AIで速くなったはずなのに、仕事が減った気がしない」という感覚には、いくつも原因がありますが、この調査が指しているのはそのうちの1つ——直った箇所より、直っていないか確かめる箇所のほうが増えているという状態です。

165件の回答という小さな調査ですが、上位に並んだ項目は、規模の大小にかかわらず身に覚えのあるものでした。作る速さは道具が上げてくれます。確認する量は、渡し方でしか下がりません。今のところ、後者は自分の手元にしか置かれていない仕事です。

Blue Aegis株式会社は、規制対応を検証可能にする技術を研究開発し、その成果を特許として保有・提供しています。規制対応でお困りの場面がありましたら、判断がつかない段階でもご相談ください。

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一次出典

本稿は公表資料に基づく整理であり、法的助言ではありません。