blueaegis Blue Aegis Inc.

REGULATORY INSIGHT

EUサイバーレジリエンス法の報告義務——24時間・72時間・14日の期限を守れる記録とは

2026年10月22日

誰が、いつから、何を示す必要があるか

デジタル要素を有する製品をEU市場に出している製造者は、2026年9月11日から、能動的に悪用されている脆弱性と、製品のセキュリティに影響する重大インシデントを報告する義務を負っています(規則(EU)2024/2847 第14条、第71条2項)。規則の全面適用は2027年12月11日ですが、報告義務だけが先行して始まりました。

EU域外の製造者も対象です。第14条は域外製造者の報告先まで定めています。また、全面適用前にすでに上市している製品にも報告義務は及びます(第69条3項)。日本で製造し、輸入者や流通業者を通じてEUで販売されている機器やソフトウェアも、この期限の中にあります。

規則が定めていること

欧州委員会のガイダンス(2026年7月公表)は、適用開始前から知られていた脆弱性を遡って報告する義務はなく、適用開始後に悪用が発生した、または悪用を知った場合に報告が必要になるという整理を示しています。

実務で詰まる点

  1. 期限の起点は「悪用を認知した時点」です。社内のどの窓口に、いつ、どの情報が届いた時点を「認知」とするのかが決まっていないと、24時間以内だったことを後から示せません
  2. 報告の要否は、どの製品のどの版に該当の構成要素が含まれているかで決まります。SBOMが出荷版ごとに保存されていないと、影響範囲の特定に時間を取られ、72時間の通知が推測に基づくものになります
  3. 販売経路が輸入者・流通業者経由の場合、どの加盟国のCSIRTが調整役になるかを製造者自身が把握していないことがあります。判定の根拠を製品ごとに記録しておく必要があります
  4. 早期警告、通知、最終報告で内容が段階的に更新されます。各時点で何を把握し、何を報告したかの版が残っていないと、報告内容の変遷を説明できません

運用でしのぐか、仕組みで担保するか

この種の要請には、二通りの向き合い方があります。ひとつは、手順書を整備し、担当者が確認と記録を行う運用でしのぐ方法。もうひとつは、求められたときに示せる記録が自動的に残る仕組みを組み込む方法です。

前者は着手が早い反面、対象となる手続や担当者が増えるほど破綻します。例外対応が積み重なるうちに記録の粒度が揃わなくなり、後から範囲を特定できなくなるためです。後者は設計の負担が先に来ますが、あとから確認できる状態が保たれます。

当社は、規制対応の適合性を人手の運用ではなく仕組みとして担保する技術を研究開発し、その成果を特許出願として保有しています。詳しくは技術領域をご覧ください。

自社が対象になるのか、対象だとして何を記録しておくべきか。判断がつかない段階でのご相談を歓迎します。該当性の判断は当社側で行いますので、現在の仕組みをお聞かせいただくだけで構いません。

相談する

出典

規則(EU)2024/2847(サイバーレジリエンス法)第13条・第14条・第64条・第69条・第71条、附属書I
https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2024/2847/oj/eng

ENISA「The CRA Single Reporting Platform is launched」(2026年9月11日)
https://www.enisa.europa.eu/news/the-cra-single-reporting-platform-is-launched

欧州委員会「Commission publishes new guidance to support timely Cyber Resilience Act implementation」(ガイダンス C(2026) 5252)
https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/library/commission-publishes-new-guidance-support-timely-cyber-resilience-act-implementation

欧州委員会「CRA reporting obligations」
https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/policies/cra-reporting

本稿は2026年10月22日時点で確認できた公表資料に基づく整理であり、法的助言ではありません。個別の適用可否については専門家にご確認ください。

施行と改正を追っています。更新はRSSで受け取れます。