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AIに毎回同じ説明をしない——指示を「常設メモ」にして書き直しを減らす

2026-08-23 AI活用・プロンプト

毎回、同じ前置きから書き始めていないか

AIに文章を頼むとき、こんな書き出しを毎回打っていないでしょうか。「私は営業職で、送り先は既存のお客さまです」「一文は短めに」「絵文字は使わないで」。

前置きだけで2分。1日に5回使えば、それだけで10分です。単純計算ですが、月に20営業日なら3時間を超えます。しかもこれは、成果物を1文字も生んでいない時間です。

この時間は、指示の中身ではなく置き場所を変えるだけで減らせます。考え方の整理には、AIコーディングツール Claude Code の公式ドキュメント「How Claude remembers your project」が参考になります。開発者向けの文書ですが、書かれている原則はふつうの仕事にそのまま使えます。

「自分が書く指示」と「AIが書き足すメモ」は別物

同ドキュメントは、会話をまたいで知識を持ち越す仕組みを2つに分けています。

どちらも会話の開始時に読み込まれます。おもしろいのは、AIが自動で書き足す側の方針です。保存されるのは「役割や作業の好み」「受けた訂正」「コードからは分からない進行中の決定」「情報のありか」の4種類で、調べれば分かることは書かないと明記されています。

これは自分でメモを書くときの基準にもなります。検索すれば出てくる一般論ではなく、自分の状況でしか分からないことだけを書く。それが持ち越す価値のある情報です。

効くのは「検証できる具体さ」

同ドキュメントは、指示の書き方として具体性を挙げ、対比の例を示しています。「コードを整形して」ではなく「インデントは半角スペース2つ」。「テストして」ではなく「コミット前に npm test を実行」。

判断の余地が残る言葉は守られにくい、という指摘です。仕事の指示に置き換えると、こうなります。

ぼやけた指示検証できる指示
丁寧に書いて一文60字以内。体言止めは使わない
短くまとめて300字以内。見出しは3つまで
社内向けの文体で「〜です・ます」。カタカナ語は初出で括弧書きの説明を付ける

右側は、出てきた文章を見れば守られたかどうかが判定できます。判定できる指示は、次に直すときの手がかりにもなります。

長く書けば守られる、わけではない

分量の目安も具体的です。指示ファイルは1つあたり200行以内が推奨され、長くなるほど文脈を圧迫し、守られる度合いが下がると説明されています。AIが書き足すメモの索引も、読み込まれるのは先頭200行(または25KB)までと決まっています。

もうひとつ重要なのが矛盾の扱いです。相反する指示が2つあると、どちらかが恣意的に選ばれる。だから定期的に読み返して、古くなった指示や食い違いを消すよう勧めています。

足すことより、消すことが効く。 メモを育てるときの原則はここに尽きます。

何を書き留めるかは「2度目」で決める

では何を書くのか。同ドキュメントは、追記すべきタイミングを挙げています。要約すると次の4つです。

  1. AIが同じ間違いを2回目にしたとき
  2. レビューで、AIが知っておくべきだった指摘を受けたとき
  3. 前回と同じ訂正を、また打ち込んでいるとき
  4. 新しく入った人にも、同じ説明が必要になるとき

いずれも「2度目」が合図です。1回きりの要望は、その場で言えば済む。2度目が来たものだけを常設メモに移す。この線引きなら、メモが際限なく膨らむこともありません。

覚えさせても、確実ではない

見落とせない注意書きもあります。これらの指示は文脈として渡されるものであって、強制される設定ではないと、ドキュメントははっきり書いています。必ず実行させたい処理は、別の仕組み(フック)で担保するよう案内されています。

つまり、常設メモは成功率を上げる工夫であって、保証ではありません。数字の転記や社外に出す文面など、間違えると困る部分は、自分の目で1回確かめる。この前提は変わりません。

今日の15分でできること

  1. 直近3回のAIとのやり取りを開き、毎回書いている前置きを書き出す
  2. それを上の表の右側のように、判定できる形へ言い換える
  3. 使っているツールの常設指示欄(カスタム指示やプロジェクト単位の設定)に貼る
  4. 週に1回、直せなかった点を1行足し、古い行を1行消す

4番目まで続けられれば、メモは自分の仕事の癖が溜まった引き継ぎ書になります。作るのに15分、効くのは毎日です。

Blue Aegis株式会社は、規制対応を検証可能にする技術を研究開発し、その成果を特許として保有・提供しています。規制対応でお困りの場面がありましたら、判断がつかない段階でもご相談ください。

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一次出典

本稿は公表資料に基づく整理であり、法的助言ではありません。