AIへの指示は「3点セット」で書く——公式ドキュメントに学ぶプロンプト設計
「AIに頼んでみたけど、思った答えが返ってこない。結局、何度も書き直しさせて、自分でやったほうが早かった」。生成AIを使い始めた人が最初にぶつかる壁は、たいていここです。
原因の多くは、AIの性能ではなく指示の書き方にあります。AI開発企業のAnthropicが公開しているプロンプトエンジニアリングの公式ドキュメントでは、良い指示の条件として「明確な指示」「具体例の提示」「役割の付与」「思考を促すこと」などが挙げられています。この記事では、これらを毎日の仕事で使える形に落とし込んだ「3点セット」を紹介します。
3点セット: 役割・条件・読者
指示文を書くとき、次の3行を最初に置いてみてください。
- 役割: 「あなたは経験豊富な編集者です」のように、AIに立場を与える
- 条件: 「500字以内、箇条書き禁止、専門用語なし」のように、出力の形を数字で縛る
- 読者: 「読むのはAIを触ったことのない営業部長」のように、誰に向けた文章かを伝える
たとえばメールの下書きなら、「あなたは丁寧なビジネスメールが得意なアシスタントです。300字以内で、取引先の部長に納期延期をお願いするメールを書いてください。相手はこちらの事情を知りません」といった具合です。役割で文体が決まり、条件で分量が決まり、読者で説明の深さが決まります。3つが揃うと、1回目の出力の精度が目に見えて変わります。
「例」を1つ見せるだけで精度が上がる
公式ドキュメントで繰り返し強調されているのが、具体例(examples)の力です。「こういうトーンで書いてほしい」と言葉で説明するより、過去に自分が書いた文章を1つ貼り付けて「この文体に合わせてください」と頼むほうが、はるかに正確に伝わります。
議事録の要約なら、以前うまくできた要約を1つ添える。報告書なら、上司に褒められた過去の報告書を見本にする。手元の「良かった実例」は、それ自体が最高の指示文になります。
考える過程を書かせる
もうひとつ効果的なのが、結論の前に考える過程を出させることです。「まず論点を3つ挙げてから、それぞれについて検討し、最後に結論を書いてください」のように手順を指定すると、複雑な依頼ほど破綻が減ります。公式ドキュメントでも、思考を促す構成やタスクを段階に分ける「チェーニング」が推奨されています。
今日の1本目から試す
まずは今日書く最初のメール1本で、「役割・条件・読者」の3行を試してみてください。うまくいった指示文はメモアプリに保存しておくと、次からは貼り付けるだけで済みます。指示文は消耗品ではなく、育てていく資産です。
Blue Aegis株式会社は、規制対応を検証可能にする技術を研究開発し、その成果を特許として保有・提供しています。規制対応でお困りの場面がありましたら、判断がつかない段階でもご相談ください。
相談する一次出典
- Anthropic(公式ドキュメント)「Prompt engineering overview」
https://platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/prompt-engineering/overview
本稿は公表資料に基づく整理であり、法的助言ではありません。