AIに1問聞くと、裏では平均4.13件の検索が走っていた——1,800問調査が映す、聞き方で候補が変わる仕組み
「おすすめのツールを比較して」とAIに頼んで、出てきた候補をメモした。数日後、同じつもりで聞き直したら顔ぶれが違っていた——。そんな経験があるなら、それはAIの気まぐれではなく、質問の条件が変わったからかもしれません。
9月21日に公開された調査が、その裏側を数字で見せています。
1問が、平均4.13件の検索に分解されていた
Queue株式会社が2026年9月21日に公表した「AI検索大規模調査」は、Google Geminiに対して企業名・サービス名を含まない質問(非指名質問)を、18業界×各100問の計1,800問投げ、回答が作られる過程を記録したものです。調査の実施時期は2026年9月。Web制作、会計ソフト、転職、引越し、英会話スクールなど、生活と仕事の両方にまたがる業界が並んでいます。
結果はこうでした。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 回答生成時にWeb検索が実行された割合 | 93.1%(1,675/1,800) |
| 生成された検索クエリ | 計7,440件(1問あたり平均4.13件) |
| 引用されたデータ | 計22,931件(1回答あたり平均12.74件) |
つまり、こちらが1つ質問するたびに、AIは平均4件以上の検索に分解して調べ直し、13件近い情報を束ねて答えを組み立てている、ということです。調査は「中小企業に合う営業管理ツール」という1問が、「中小企業向けSFA」「料金比較」「導入しやすいCRM」「導入事例」といったクエリに分かれる例を挙げています。
検索が走る割合は業界によって幅があり、歯科の82%から、引越し・英会話の98%までと差がありました。
引用元の7割は、その業界で一度きり
もう一つ目を引くのが、引用元の散らばり方です。業界別に数えた参照ドメインは延べ10,058件。このうち7,043件(70.0%)は、その業界で1回しか引用されていませんでした。上位10ドメインが引用全体に占める割合は、業界ごとの中央値で約21.6%です。
ここにも業界差があります。歯科は上位の占有率が約4.8%と散らばる一方、旅行は約41.1%、会計ソフトは約40.5%と、特定のサイトに寄っていました。
散らばっている領域ほど、答えの土台は毎回入れ替わります。同じ質問でも返ってくる候補が動くのは、そのためです。
条件を絞ると、顔ぶれが入れ替わる
調査の中で一番実感しやすいのは、質問の条件を変えたときの動き方でした。
法人向け不動産の100問では、ある大手企業名が30回答に登場しています。ところが「CRE・保有不動産の活用」に絞った10問では、その企業名は一度も出てきませんでした。自動車買取でも、故障車・事故車に条件を絞った20問では、全体とは別の会社が上位(15回答、12回答)に並んでいます。
「一般に名前がよく挙がる候補」と「自分の条件での候補」は、同じではない。調査はそれを、業界をまたいで示しています。
自分の調べものに置き換えると
ここから持ち帰れることは、そう多くありません。ただ、どれもすぐ試せます。
- 条件を先に書く。 用途・制約・対象・予算を最初に添える。調査は、主語やカテゴリが曖昧だと検索が想定外の業界まで広がりうると指摘しています。
- 条件を1つ変えて、もう一度聞く。 候補が入れ替わるなら、その答えは条件に依存しています。変わらないなら、条件によらない定番だと分かります。1分の追加投資で、答えの性格が読めます。
- 引用元を開いてみる。 7割が一度きりのドメインという散らばり方を思い出せば、出典を1つ2つ確かめる手間は割に合います。
- 固有名詞は疑う。 調査では、すでに使われていない旧社名や終了したブランドが、現在の候補のように扱われる回答も確認されています。
数字の読み方に一言
この調査は対象がGoogle Geminiのみで、ChatGPTやClaude、Perplexityでは結果が異なる可能性があると、調査自身が注記しています。2026年9月時点の観測であること、1業界100問がその業界のすべてではないことも同様です。数字は「どのAIでもこうなる」ではなく、「少なくともこういう作られ方をしている」という手がかりとして読むのが妥当でしょう。
それでも、方向としては納得のいく話です。AIが速いのは、集めて束ねるところ。どの条件で聞くかを決める部分は、いまのところ自分の側に残っています。聞き方を1行足すか、同じ問いを条件違いでもう一度投げるか。手を動かす場所は、そのあたりにありそうです。
Blue Aegis株式会社は、規制対応を検証可能にする技術を研究開発し、その成果を特許として保有・提供しています。規制対応でお困りの場面がありましたら、判断がつかない段階でもご相談ください。
相談する一次出典
- Queue株式会社(PR TIMES)「AI検索大規模調査【18業界・1,800問を独自調査で見えた】2026年最新のAI検索回答の傾向と対策_どの業界も引用と言及が異なる」(2026-09-21)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000038.000147944.html
本稿は公表資料に基づく整理であり、法的助言ではありません。