レビューを「必ず確認する」はAI利用者55.4%、非利用者13.0%——300名調査が映す、AIで調べる人の裏取り
AIに聞いて調べ物を済ませる人は、だんだん裏を取らなくなる——そういう心配をよく聞きます。実際の数字は、逆の方向に出ました。
アイティクラウド株式会社が2026年9月14日に公開した調査です。同社はB2B向けIT製品・SaaSのレビュープラットフォーム「ITreview」を運営しています。直近1年間にIT製品・サービスの導入に関与したビジネスパーソン300名に、2026年3月、インターネットで聞いたものです。
先に条件を書いておきます。対象が「IT製品の導入に関わった人」に限られているため、リリース自身が「一般企業全体よりもIT製品情報、比較サイト、生成AIへの接点が高めに出やすい可能性」を注記しています。また設問によって回答対象者とn数が変わります。以下の数値はその前提で読んでください。
AIは「候補を出す入口」として使われている
SaaSを選ぶときに生成AIを使った人は43.0%(300名中129名)でした。半数近くが、製品候補を探す最初の一歩にAIを置いていることになります。
ただしリリースは、生成AIの回答だけで選定が完結しているわけではなく、選定者は口コミやレビュー、公式サイトなど複数の情報源を確認しながら候補を絞り込んでいる、とまとめています。Web検索や比較サイトといった既存の情報源も引き続き使われている。AIはそれらを置き換えたのではなく、情報源の列に1つ加わった、という位置づけです。
信用しているのは74.4%、確かめたのは54.4%
生成AIを使った129名のうち、AIの回答を「信用している/ほぼ信用している」と答えた人は74.4%でした。
一方で、AIの回答に含まれるURLをクリックして実際のページを見た、あるいはAIを離れて検索エンジンで調べ直した——こうした情報源の確認行動を取った人は54.4%です。
この2つの間には20ポイントの開きがあります。信用の度合いと、確かめる行動は別物だということです。信用しているから確かめない人もいるし、信用したうえで確かめる人もいる。同じ「信用している」の中に、両方が混ざっています。
「必ず確認する」は55.4%と13.0%
はっきり差が出たのはここです。ITツールを選ぶときに口コミ・レビューを確認するかを、生成AIの利用者と非利用者で比べています。
| 回答者 | 必ず確認する | 「必ず」+「だいたい」 |
|---|---|---|
| 生成AI利用者 | 55.4% | 91.3% |
| 生成AI非利用者 | 13.0% | 79.7% |
「必ず確認する」で4倍以上の開きです。AIで調べている人のほうが、レビューを必ず見ている。
ただし読み方に2つ注意があります。
1つは、「必ず」と「だいたい」を合わせると非利用者も79.7%が確認していることです。非利用者が裏を取らないわけではありません。差がついているのは、確認を毎回通すかどうかという徹底の度合いです。
もう1つは、ここから言えるのが傾向であって、因果の向きは分からないことです。AIを使ったから確かめるようになったのか、もともと確かめる習慣のある人がAIを早く使い始めたのか。どちらもありえます。リリースも「傾向が見られました」という書き方をしています。
なぜ、AIを使う人のほうが確かめるのか
因果は分からないと書いたうえで、推測を置きます。
AIの回答は、体裁の整った文章で出てきます。検索結果の一覧なら「これは広告」「これは3年前の記事」と見分けがつくのに、AIの文章になると出所の差が均されてしまう。どこが確かでどこが怪しいのか、見た目からは分からなくなります。
だからAIを入口にした人は、URLを開く・別の経路で引き直すという一手間を、手順として持つことになる。持たなかった人は、そのうち痛い目を見る。その結果として「必ず確認する」に寄っていく、という順序は考えられます。
そしてこの一手間は、速さを落とすものというより、後戻りを防ぐものです。候補を挙げる段階が数分で済むようになったなら、浮いた分の一部を確認に回しても、全体としては速いままです。
今日から決めておく3つ
数字から取り出せる手順は3つです。
- AIの回答を「候補リスト」として受け取る。 結論ではなく候補。この受け取り方を先に決めておくと、次に何をするかが自動で決まります。
- 確かめる対象を絞る。 全部の裏を取るのは無理です。数字・日付・固有名詞の3つに限るだけでも、崩れやすいところは押さえられます。
- 「だいたい」を「必ず」に寄せる。 差がついていたのは徹底の度合いでした。人に出す資料や判断に関わる調べ物では、URLを最低1つは開く。毎回やると決めたほうが、そのつど迷うより速く済みます。
AIで調べる人が裏を取らなくなる、という心配は、少なくともこの300名の回答には出ていませんでした。出ていたのは、AIを入口にした人ほど確認を手順に組み込んでいる、という並びです。調べる速さで差がつく時代は、たぶんもう終わりかけています。差が残るのは、確かめる工程を持っているかどうかのほうです。
Blue Aegis株式会社は、規制対応を検証可能にする技術を研究開発し、その成果を特許として保有・提供しています。規制対応でお困りの場面がありましたら、判断がつかない段階でもご相談ください。
相談する一次出典
- アイティクラウド株式会社(PR TIMES)「ITreview「生成AI時代のIT製品・サービス選定レポート2026」を公開」(2026-09-14)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000153.000033567.html
本稿は公表資料に基づく整理であり、法的助言ではありません。