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「AIに任せていい仕事」の線引きは、1本ではなく5段の階段——1,104名調査が映す13業務の温度差

2026-09-06 AI活用考え方

「この仕事、AIに任せていいんだろうか」。手が止まるのは、たいてい能力の問題ではなく、線をどこに引くかを決めていないからです。その線が、いま世の中でどのあたりに引かれているのかを測った調査が出ました。

いちばん任せてよいとされた仕事でも、44.7%

株式会社チェンジホールディングスは、グループの株式会社チェンジ、イー・ガーディアン株式会社とともに実施した「人とAIの『線引き』に関する意識調査」を2026年9月4日に公表しました。全国の20〜59歳の会社員・役員1,104名へのインターネット調査で、調査期間は2026年7月3日から7月10日です。

13の業務それぞれについて、AIの活用方法として現時点の考えに最も近いものを選んでもらった結果、13業務の平均で「人が主体で実施する」が61.2%、「AIが主体的に実施する」が38.8%でした。

業務別に見ると、AIが主体でよいという回答が多かったのは、議事録作成44.7%、データ分析44.0%、情報の整理43.8%。少なかったのは、課題の整理25.3%、最終的な意思決定33.5%、社内報告(上司・役員)35.2%です。

注目したいのは、最上位の議事録作成でも44.7%どまりだという点です。「AIに任せてよい仕事」は、まだ誰もが同じ場所に線を引ける状態ではありません。職場で意見が割れるのは、あなたの理解が遅れているからではなく、線がまだ揺れているからです。

線は1本ではなく、5段の階段になっている

この調査でいちばん実務に使えるのは、実は数字ではなく選択肢の作りかたです。各業務について、次の5つから選ばせています。

  1. 人主導:人が主体で実施し、AIは使用しない
  2. サポート:人が主体で実施し、AIは補助として活用する
  3. レビュー:AIが主に実施し、人が内容を確認・修正する
  4. 責任保持:AIが主に実施し、人は最終判断のみ行う
  5. 完全自動:AIが自律的に実施し、人は基本的に関与しない

調査ではこのうち3〜5を「AI主体」としてまとめています。つまり議事録作成の44.7%には、「AIが下書きして自分が直す」人も、「AIに任せきる」人も同居しています。

ふだん「AIに任せる」と言うとき、私たちはこの5段のどれを指しているかを曖昧にしたまま話しがちです。任せる/任せないの二択にすると、判断が重くなって結局2段目のまま止まります。5段だと考えれば、動かす幅は1段で済みます。

同じ職場でも、線の位置はこれだけ違う

線は個人差ではなく、属性ごとにまとまった差として出ています。

いっぽうで「AIに仕事を奪われることへの懸念」は、全体で「懸念している」43.6%、「懸念していない」44.2%とほぼ拮抗し、20代67.5%、50代26.5%と若い世代ほど高く出ています。容認度と懸念度が同じ層で同時に高いわけです。なお勤務形態の差について、リリース自身が職種や年代など他の要因とも関連する可能性があり、勤務形態単独の影響とは言い切れないと注記しています。

要するに、あなたが線を1段動かすと、隣の席の人とは線の位置がずれます。ずれること自体は避けられません。避けられるのは、ずれを説明できないまま進めることです。

自分の仕事で線を引き直す、3つの手順

1. 手持ちの仕事を書き出して、いまの段を書く。 13業務を借りてもいいですし、自分の言葉でかまいません。おそらく多くが2段目(人が主体、AIは補助)に並ぶはずです。並べてみると、なんとなく避けていた仕事が見えます。

2. 上げるのは1業務・1段だけ。 2段目から3段目、つまり「自分が書いてAIに直させる」から「AIに下書きさせて自分が直す」への変更です。順番を入れ替えるだけで、成果物の責任は自分に残ったままです。まず容認度が高い議事録作成・データ分析・情報の整理あたりから試すと、周囲の理解も得やすくなります。

3. 上げる前に、確認の観点を決めておく。 3段目は「人が内容を確認・修正する」段です。何を見たら合格にするのかを2〜3個決めてから渡します。数字の出どころ、抜けている論点、相手に失礼な表現。ここを決めずに上げると、確認が毎回ゼロから始まって、かえって時間がかかります。

上げない線も、言葉にしておく

課題の整理25.3%、最終的な意思決定33.5%という数字は、裏返せば「ここは人が持つ」と多くの人が考えている領域です。全部を上げにいく必要はありません。

むしろ効くのは、「ここまではAIに下書きさせます、ここからは自分が決めます」と自分の言葉で言えるようにしておくことです。世代でも役職でも線の位置が違う以上、説明のない移動は摩擦になります。説明のある移動は、単なる作業の速さではなく、判断のしかたとして相手に伝わります。

この調査が測ったのは「いま人がどう思っているか」であって、「AIに何ができるか」ではありません。だからこの数字は、あなたの線が正しいかどうかを決めてくれません。決めるのは、1段動かして、確認して、ちゃんと回るかを自分で見た結果のほうです。

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