「AIに頼みたいのに頼めない」実務者73.2%——壁の内訳は連携44.5%・制約37.7%・出力37.7%
AIが使えない、という話ではありません。使っている人が、使えない業務を抱えたままになっている。そういう数字が出ました。
「頼みたいのに頼めない」が7割を超えた
ストックマーク株式会社が2026年9月18日に公表した比較調査で、大手製造業の実務者384名のうち 73.2% が「生成AIに頼みたいのに頼めていない業務がある」と回答しました。
調査は2本立てです。役職者208名に2026年6月10日〜16日、実務者384名に同年7月17日〜28日、いずれもオンラインアンケートで聞いています。対象はどちらも、社内での生成AIの導入・推進・活用に関わっている人たちです。つまり、AIから遠い人の回答ではありません。
同じ調査で、業務スピードや生産性の改善を実感しているのは役職者71.2%、実務者64.1%。平均して使っているツールの数は役職者2.42個、実務者2.25個でした。効果は出ている。道具も2つ前後は手元にある。それでも7割超が「頼めない業務」を抱えている、という並びです。
壁の内訳は3つに割れている
頼めない理由として挙がった上位は、次の3つでした。
| 理由 | 割合 |
|---|---|
| 社内システムと連携していない | 44.5% |
| セキュリティ上の制約 | 37.7% |
| 期待通りの回答が得られない | 37.7% |
この3つは性質が違います。上の2つは、自分の裁量の外にあります。システムをつなぐのも、扱ってよい情報の範囲を決めるのも、個人が今日動かせる話ではありません。
一方で3つ目は、手元で減らせます。そして、上の2つに引っかかっている業務の中にも、「材料を手で運べば頼める」ものが混ざっています。
手元で減らせるのは「期待通りにならない」のほう
期待とのズレは、たいてい指示の長さではなく、渡した材料と見本の不足から来ます。試しやすい順に3つ挙げます。
- 完成形を1本見せる。 過去に自分が書いた議事録なり報告書なりを、そのまま例として渡す。「丁寧に」「簡潔に」と言葉で足すより、見本1本のほうが早く合います。
- 運ぶ材料を先に決める。 連携がないなら、何をコピーして渡すかを固定してしまう。運ぶのに3分以上かかるなら、その業務は今は頼まない——という線引きでも構いません。毎回悩むより消耗しません。
- 直した箇所だけ記録する。 出てきたものを自分がどこで直したか。その1行を次の指示に足していくと、同じ直しが減ります。
いずれも、環境が変わるのを待たずに始められます。
「頼めなかった業務」のメモが効く
調査では、会社が導入したAIと理想の使い方にギャップを感じる実務者が51.8%。その人たちに理由を聞くと、最も多かったのは「導入はされているがサポートが不十分」で52.8%でした。
サポートが足りないという実感は広く共有されているのに、では具体的に何が足りないのかを言える人は多くありません。ここは、個人にとって意外と得な場所です。
頼めなかった業務と、その理由を並べたメモを残しておく。それだけで、社内で相談するときの材料になりますし、転職や案件の面談で「AIをどう使っているか」を聞かれたときにも、抽象論ではない答えになります。フリーランスであれば、次に道具を選ぶときの判断材料がそのままたまっていきます。
役職者側では、84.1%が「生成AIへの印象がポジティブな方向に変わった」と答えています。手応えは上のほうにあり、詰まっている場所は現場にある。その詰まりを具体的な言葉で持っている人は、まだ少数派です。
壁を全部壊す必要はない
課題の認識自体は、上下であまりずれていません。「自社独自のデータ・ナレッジの整備」を最重要に挙げたのは役職者59.6%、実務者56.2%。「AI活用を前提とした業務の再設計」は役職者57.2%、実務者52.9%。どちらも、個人の努力でどうにかなる範囲を超えた話です。
だからこそ、分けて考えるほうが現実的です。環境側の壁は、そこに壁があると記録しておく。自分側の壁は、今週のうちに1つ減らしておく。
この調査は大手製造業に限ったものなので、数字がそのまま他の業種に当てはまるとは限りません。それでも、「使っているのに頼めない業務が残る」という形は、業種を問わず心当たりのある人が多いはずです。まずは、自分が頼めずにいる業務を3つ書き出すところからで十分です。
Blue Aegis株式会社は、規制対応を検証可能にする技術を研究開発し、その成果を特許として保有・提供しています。規制対応でお困りの場面がありましたら、判断がつかない段階でもご相談ください。
相談する一次出典
- ストックマーク株式会社(PR TIMES)「【製造業役職者・実務者における生成AI活用実態 比較調査】経営層の8割が生成AIに“手応え”を感じる一方で現場の7割は「環境の壁」に直面」(2026-09-18)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000429.000024407.html
本稿は公表資料に基づく整理であり、法的助言ではありません。