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REGULATORY INSIGHT

改正公益通報者保護法 ― 2026年12月1日施行で立証の負担が変わります

2026年8月22日

公益通報者保護法の改正法は2025年6月11日に公布され、2026年12月1日に施行されます。残り3か月半です。

この改正でいちばん大きいのは、罰則が入ったことでも通報者の範囲が広がったことでもありません。通報を理由とする解雇・懲戒について推定規定が置かれたことです。争いになったときに、どちらが何を示さなければならないかが変わります。

改正の柱

消費者庁の整理によれば、改正は次の4点を軸としています。

推定規定が意味すること

従来、通報を理由に不利益な取扱いを受けたと主張する側は、その因果関係を自ら示す必要がありました。会社の内部で何が起きていたかを、外にいる通報者が立証するのは容易ではありません。

改正により、通報から一定の期間内に行われた解雇や懲戒については、通報を理由とするものと推定される仕組みが導入されます。推定を覆すのは事業者の側です。

その処分は、通報とは無関係の事情によるものだった。半年後、あるいは数年後の紛争の場で、それをどう示すか。

ここで問われるのは、処分が妥当だったかどうかという評価の問題ではありません。処分の検討がいつ始まり、どの事実に基づいて進み、誰が決めたのかを、通報の時点との前後関係を含めて示せるかどうかです。

「通報より前から問題視していた」と主張するのであれば、それを裏づける記録が通報より前に存在していなければなりません。後から作成した資料では足りません。

担当者個人に刑事罰が及び得ます

改正では、通報を理由とする不利益な取扱いについて刑事罰が導入されます。法人だけでなく、処分に関与した担当者個人が対象になり得る点が、従来との大きな違いです。

この変化は実務の運用に影響します。人事上の判断に関わる担当者にとって、自分の判断がどのような記録として残っているかは、これまでとは別の重みを持つことになります。

通報を妨げる行為も対象になります

通報しないことを約束させる、通報者を探索する、通報を思いとどまらせる。こうした行為への対処も改正に含まれています。

注意が要るのは、明示的な口止めだけが問題になるのではないという点です。誰が通報したのかを事実上特定しようとする動きや、通報窓口の運用実態が通報を躊躇させるものになっている場合も、評価の対象になり得ます。窓口を設置していることと、機能していることは別です。

いま確認しておくとよいこと

運用でしのぐか、仕組みで担保するか

推定を覆す立場に回るということは、紛争が起きてから記録を集めるのでは間に合わないということです。必要な記録は、通報も処分も起きていない平時のうちに、自動的に残っている必要があります。

担当者が意識して記録を残す運用でも、対応できる規模はあります。ただし人事上の処分は関与者が多く、検討が複数の経路で並行して進むことが常です。あとから時系列を再構成しようとしたときに、記録の粒度が揃っていなければ説明になりません。

当社は、規制対応の適合性を人手の運用ではなく仕組みとして担保する技術を研究開発し、その成果を特許出願として保有しています。本改正が関係する領域についても出願を行っています。

施行まで3か月半です。自社の体制が改正後の水準を満たしているか、記録が推定を覆す材料になり得るか。判断がつかない段階でのご相談を歓迎します。該当性の判断は当社側で行います。

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出典

消費者庁「公益通報者保護制度」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system

公益通報者保護法の一部を改正する法律(2025年6月11日公布)/同法の施行期日を定める政令(2025年12月10日公布)

本稿は2026年8月22日時点で確認できた公表資料に基づく整理であり、法的助言ではありません。推定規定の具体的な要件、罰則の適用範囲その他の詳細については条文および消費者庁の指針をご確認のうえ、個別の対応については専門家にご相談ください。