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AIで浮くのは週11時間、AIの世話に週6.4時間——6,000人調査が映す「見えない工数」

2026-09-01 AI活用生産性

「AIを使って速くなった実感はあるのに、退勤時刻は去年と変わらない」。そう感じている人は、たぶん少数派ではありません。浮いた時間が消えている先について、まとまった数字が出ています。

週11時間が浮いて、週6.4時間が戻る

AI検索基盤を提供する Glean は、2026年6月10日、調査部門 Work AI Institute による「Work AI Index 2026」の結果を公表しました。対象は米国・英国・オーストラリアのフルタイムのデジタルワーカー6,000人(米国3,000人、英国1,500人、オーストラリア1,500人)で、調査時期は2025年12月から2026年1月です。

数字は二段構えになっています。仕事でAIを使っている人は87%、AIによって生産性が上がったと答えた人は75%。そしてAIで浮いた時間は週におよそ11時間。ここまでは景気のいい話です。

その裏で、AIに関わる時間のうち週6.4時間が「botsitting」——レポートが名付けた、AIを使える状態に保つための作業に費やされていました。中身は、毎回の前提説明、出力の見張り、エラーの手直し、後始末、そしてツール間の移動です。実際、週に複数のAIツールを行き来している人は77%でした。浮いた11時間と並べると、半分以上が世話として戻ってきている計算になります。

もうひとつ、レポートは組織側の数字も出しています。AIによって会社の業績がはっきり良くなったと答えた人は13%。個人の実感と組織の成果のあいだに、大きな段差があります。

日本でも、9割が「手直し」をしている

同じことは国内の調査にも出ています。株式会社ニットが2026年4月27日に公表した調査では、全国の25〜59歳のビジネスパーソン600人のうち、業務でAIを使っている人は46.2%。そのAI利用者の90.6%が、出力をそのままでは使わず手直ししていました。

注目したいのは残業の内訳です。AIを使い始めて残業が減った人は26.0%。一方で、増えた人も13.0%いました。増えた人にその理由を聞くと、66.7%が「AIの出力を業務で使える水準まで整える工程が必要になったから」と答えています。AIが仕事を増やしたのではなく、AIと自分のあいだに新しい工程が挟まった、という形です。

「世話」と「確認」を分けて数える

ここで手を打つ前に、ひとつ切り分けが要ります。手直しの時間は、性質の違う2種類が混ざっています。

世話は減らしていいコストです。確認は減らしてはいけないコストです。同じ「手直し」に見えるので、まとめて削ろうとすると、削りやすい確認のほうから消えていきます。

Glean のレポートには、その先が数字で出ています。自分では検証しきれていない、あるいは十分に理解できていないAIの生成物を、そのまま仕事として出したことがあると答えた人は69%。確認を削った結果がここに表れています。速く出した分の信用を、あとでまとめて払うことになりかねません。

世話を減らす、3つの手順

1. 1週間、直した「中身」だけ記録する

時間ではなく種類を書き留めます。ノートに一行で構いません。「社名の表記」「結論が最後に来ていた」「数字が古い」といった具合です。1週間分たまると、直しの大半が数パターンに寄っていることが見えてきます。

2. 同じ種類が3回出たら、指示の側に戻す

3回直したものは、これからも直し続けるものです。「社名は正式名称で書く」「結論を最初の段落に置く」と、依頼する時点で書いてしまう。毎回2分の手直しが週5回発生していれば、それだけで月40分が戻ってきます。

3. 使っているAIツールの数を数える

複数を並行して使うと、前提の説明もその数だけ増えます。用途ごとに散らすより、いちばん長く使う仕事の主戦場をひとつに決め、他は明確に役割を絞るほうが、世話の総量は小さくなります。

確認は、減らさずに軽くする

確認を残しつつ負担を下げるなら、対象を絞るのが現実的です。文章全体を疑うのではなく、数字・固有名詞・日付・引用の4点に限って元の資料に当たる。この4つ以外は、読み直せば自分で判断がつきます。

あわせて、確認の時間を最初から作業時間に含めて見積もっておくと、締切に追われて飛ばす、ということが起きにくくなります。「AIで30分」ではなく「AIで20分、確認に10分」と置く。合計は変わりませんが、削られる場所が変わります。

まとめ

週11時間浮いて、週6.4時間が世話に戻る。この差を広げる方法は、AIをもっと使うことではなく、AIとの往復のうち繰り返しになっている部分を指示側に移していくことです。まずは1週間、直した中身をメモするところから。記録が3回同じことを指したら、それがあなたの最初の削りどころです。

Blue Aegis株式会社は、規制対応を検証可能にする技術を研究開発し、その成果を特許として保有・提供しています。規制対応でお困りの場面がありましたら、判断がつかない段階でもご相談ください。

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