REGULATORY INSIGHT
相続手続の進行管理と士業の独占業務の分界——外部システムが扱える範囲
誰が、いつから、何を示す必要があるか
相続手続は、戸籍収集、遺産分割協議、相続登記、相続税申告、金融機関の名義変更など、複数の士業の独占業務と一般事務が入り混じります。2024年4月から相続登記が義務化され、手続を支援する民間サービスが増えていますが、事業者は「自社が行ったのは独占業務に当たらない事務であること」を、後から示せる必要があります。抵触すれば刑事罰の対象です。
各法が独占業務としていること(要旨)
- 弁護士法第72条:報酬を得る目的で法律事件に関する法律事務(遺産分割の交渉・調停代理など)を扱うこと
- 司法書士法第3条:登記申請書類の作成と代理(相続登記の申請書作成)
- 税理士法第2条:税務代理・税務書類の作成・税務相談(相続税の申告と相談)
- 行政書士法第1条の2:官公署に提出する書類・権利義務に関する書類の作成(遺産分割協議書の作成が典型)
いずれも「本人が自ら行う」ことは制限されず、事業者が本人の作業を支援する形態が争点になります。
実務で詰まる点
- 「テンプレートの提供」と「書類の作成」の境界が運用上曖昧で、入力補助が作成代行に変質している
- 進行管理の中で「この場合は分割協議が必要」といった案内が、個別事案への法的助言と受け取られる
- 士業に引き継いだ工程と自社で行った工程の記録が分かれておらず、どこまで自社が関与したか示せない
運用でしのぐか、仕組みで担保するか
この種の要請には、二通りの向き合い方があります。ひとつは、手順書を整備し、担当者が確認と記録を行う運用でしのぐ方法。もうひとつは、求められたときに示せる記録が自動的に残る仕組みを組み込む方法です。
前者は着手が早い反面、対象となる手続や担当者が増えるほど破綻します。例外対応が積み重なるうちに記録の粒度が揃わなくなり、後から範囲を特定できなくなるためです。後者は設計の負担が先に来ますが、あとから確認できる状態が保たれます。
当社は、規制対応の適合性を人手の運用ではなく仕組みとして担保する技術を研究開発し、その成果を特許出願として保有しています。本稿が扱う「相続・事業承継・士業実務」の領域についても出願を行っています。詳しくは技術領域をご覧ください。
自社が対象になるのか、対象だとして何を記録しておくべきか。判断がつかない段階でのご相談を歓迎します。該当性の判断は当社側で行いますので、現在の仕組みをお聞かせいただくだけで構いません。
相談する出典
弁護士法 第72条
司法書士法 第3条・第73条
税理士法 第2条・第52条
行政書士法 第1条の2・第19条
相続登記の義務化(不動産登記法改正、2024年4月施行)
本稿は2026年9月19日時点で確認できた公表資料に基づく整理であり、法的助言ではありません。個別の適用可否については専門家にご確認ください。
施行と改正を追っています。更新はRSSで受け取れます。